中国のカフェ的御茶屋

先日、夫とお昼を食べた帰り道、ふと御茶屋のガラス戸越しに並んでいる、急須に目が留まりました。ここに御茶屋があることは知ってたのですが、いつも素通りだったので、今日は時間もあるし、入ってみるか、ということで店内へ!

店内には、いろんな種類の急須やお茶セット、お茶の葉がところ狭しと並んでました。そして2階にはソファー席があって、下で選んだお茶を上で飲むことができます。中国では主にご年配の方が、カフェのように使っています。

色々お茶を見ていると、若店長らしき人が、「どうぞ、よかったらこっちでお茶飲んでってください。」と声をかけてくれました。 

私たちが躊躇してると、「別に売ろうなんてしませんから!ちょうど新茶が届いたから、お客さんに飲んでもらってるんですよ!」とのこと。 

新茶と聞いて、興味心身。どんな味がするんだろ~と思い、飲ませていただくことに。頂いたのは、鉄観音で福建省から届いたばかりだそう。お茶の葉を嗅がせてもらいましたが、新茶のとってもよい香りがしました!お茶を入れると薄黄緑色で、更に良い香り~ 

話を聞くと、彼はやっぱり店長で、お父さんの後を継ぎ、奥さんと一緒にお店を切り盛りしているそう。河南省出身で、大学では経営学を学び、まだ20代の若店長☆ 

ご存知の方も多いと思いますが、中国では小さなおちょこみたいな湯のみでお茶を飲みます。よって急須も日本のものに比べると小さくて、お湯を入れる量も小さいためか、お茶の葉は、一回入れたら7~8回は飲みます。1回目のお茶は、お茶の葉を洗う意味で捨ててしまい、そして2回目から飲みます。そして3~4回目に入れたものが、一番おいしいそうです(^^)v 

言われたとおり、3回目に入れていただいたものは、飲んだ後に舌の上に甘さと新茶の風味が残り、と~てもおいしかった!後で聞いた話ですが、このお茶は500g1000元(約1万5千円)のとっても高級なお茶でした(^_^;)

会話もはずみながら、お茶を頂いている間に、夫がふと店長の手前においてある急須に気がつきました。取っ手が竹の節のようなデザインで、ふたの持つところが竹の子みたいになっている、ユニークなもの。「これ、すごくいいですね~。」と言うと、「よく見ると、ふたの端が欠けているでしょう、私の友人が傷つけてしまったんです。それで売り物にならないから、たまにここで使ってるんですよ。」とのこと。 

よく見ると、本当に小さな傷。「これくらいなら、ちょっと安くすれば売れるんじゃないですか?」と夫が聞くと、「少しでも傷があったら、価値は全くありません。店長として、これをお客様に売ることはできません。」とのこと。とってもまじめ!! 

夫はとっても気に入ったみたいで、その急須を眺めながら、「もったいないですね、これは一つしかないんですか?」と聞くと、「はい、ここにある急須は、芸術家が作っているんです。この急須は、もとは480元(約7200円)で売っていたものですが、今は全く価値がありません。あそこにあるものは、以前350元で売っていた芸術家のものですが、現在は人気が出てきたため、1000元まで値が上がったんですよ!」とのこと。芸術家として人気が出ると、値段が格段に上がるそう☆彡 

色々お話して、お茶も8~9回も入れていただき、そろそろおいとましようとしたとき、店長が、「この急須、とっても気に入られたみたいだから、差し上げますよ(^_-)」といきなり!!そんな、いくら価値がないとは言え、頂けないですよ、と拒んでいると、店長が 

「はじめにお茶を飲んでってくださいと言ったのも、さっき言ったように売ろうなんて思ってません。ただ、お客さんに新茶を楽しんで頂きたかったからなんです。この急須を差し上げるのも、何の意図もありません。ただ、河南人は良い人だという印象をもってもらえたら嬉しいんです。そして特に、外国から来た人達には、中国人の良い印象を持ってもらえたら嬉しいんです。ただ、みなさんとお友達になりたいだけなんですよ。」 

ほんと、よい人もいるんだな~(T_T)店長は、急須を洗い、きれいな箱に入れてくれました。

蓋の端にある、小さな欠け、わかりますか?

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